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釧路地方裁判所帯広支部 昭和42年(わ)187号 判決 1968年7月26日

本店

中川郡本別町大字別村字北三丁目五四番地

株式会社 野田組

右代表者

野田永述

本籍

中川郡本別町大字本別村字北三丁目五四番地

住居

同郡同町北三丁目六一番地

株式会社野田組代表取締役

野田永述

明治四一年二月二〇日生

検察官

荒木紀男 出席

主文

被告人株式会社野田組を罰金二〇〇万円に、

栽告人野田永述を懲役一〇月に各処する。

被告人野田永述に対し、本栽判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、中川郡本別町大字本別村字北三丁目五四番地に本店を置き、土木、建築請負、造材および石油販売などを目的とする資本金一、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人野田永述は、同会社の代表取締役として業務全般を統括しているものであるが、被告人野田永述は被告会社の業務に関し経営の将来に備え資金の蓄積を図る目的のものとに法人税を一部免れようと企て、同会社取締役野田あい、同三木昭雄および監査役森岡嗣と共謀の上土木請負工事の労務費につき一部架空計上して架空の工事原価を計上する等の不正手段によつて、その所得を一部秘匿し、所轄の十勝池田税務署長に対して、

第一、昭和三九年二月一日から同四〇年一月三一日までの事業年度における実際の所得金額は一一、八一六、〇一四円であり、これに対する正規の法人税額が四、三〇八、三三〇円であるのに同年三月三一日ころ、所得金額が一、三二七、六一六円であり法人税額が四〇六、三五八円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、正規の法人税額との差額三、九〇一、九七二円を逋脱し、

第二、同四〇年二月一日から同四一年一月三一日までの事業年度における実際の所得金額は三一、二二七、四七三円であり、これに対する正規の法人税額が一一、二二六、七八六円であるのに同年三月三一日ころ、所得金額が一〇、〇二五、四八二円であり、法人税額が三、三八六、二六〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、正規の法人税額との差額七、八四〇、五二六円を逋脱し、

第三、同四一年二月一日から同四二年一月三一日までの事業年度における実際所得金額は二〇、七四一、八八一円であり、これに対する正規の法人税額が六、八六〇、五九二円であるのに、同年三月三一日ころ、所得金額が一〇、四七五、七三七円であり、法人税額が三、二七二、〇〇九円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、正規の法人税額との差額三、五八八、五八三円を逋脱し

たものである。

(証拠)

一、被告人野田永述の当公廷における供述

一、被告人野田永述の検察官に対する各供述調書

一、登記籍謄本

一、森岡嗣の答申書

一、池田税務署長の法人税の申告納税に関する証明についてと題する書面

一、大蔵事務官の各脱税額計算書および脱税額計算書説明資料

一、野田永述、野田あいの上申書

一、三木昭雄、森岡嗣の上申書

一、森岡嗣の検察官に対する供述調査

一、三木昭雄、中山文子、の検察事務官に対する各供述調書

一、粟野亀市の検察官に対する供述調書

一、北洋銀行池田支店長代理の答申書

一、富士銀行札幌支店長、北海道拓殖銀行本別支店長の各回答書

一、札幌アサヒ開発興業株式会社代表取締役酒井米一の答申書

一、野田永述の各上申書

一、平賀昌夫、常盤工業株式会社代表取締役安島源一の各答申書

一、関政之、森岡嗣の各上申書

(法令の適用)

被告人野田永述の判示第一の所為は法人税法(昭和四〇年法律三四号)附則一九条により同法(昭和二二年法律二八号)四八条一項、刑法六〇条に、判示第二、第三の所為は法人税法(昭和四〇年法律三四号)一五九条一項、刑法六〇条に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択することとし、被告人株式会社野田組については、被告人野田永述の判示第一ないし第三の各違反行為にもとづき、判示第一に関し法人税法(昭和四〇年法律三四号)附則一九条に従い、同法(昭和二二年法律二八号)五一条一項により、判示第二、第三に関し、同法(昭和四〇年法律三四号)一六四条により被告人野田永述についての前記各本条の罰金刑を科すべく、被告人野田永述に対する判示第一ないし第三の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし被告人株式会社野田組に対する判示第一ないし第三の各罪は同法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により判示第一ないし第三の各罪所定の罰金額を合算し、以上所定の刑期及び罰金額の範囲内で被告人株式会社野田組を罰金二〇〇万円に、被告人野田永述を懲役一〇月に処し、被告人野田永述については情状により同法二五条一項を適用して本栽判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

(栽判官 石川正夫)

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